老後の安心設計
今は元気。でも将来が心配。
任意後見制度は、将来に認知症などにより判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ将来のことを約束し、支援内容をあらかじめ支援者との間で決定しておく制度です。
子供がいない。親族には迷惑をかけられないなど、もし判断能力が不安になったら、支援してくれる人がほしい…そんな老後の安心設計として利用できます。
法定後見制度との違い
任意後見 | 法定後見 | |
---|---|---|
誰が後見人を選ぶか | 本人。 自由に任意後見人を選ぶことができる | 裁判所。 必ずしも希望どおりになるとは限らない。 |
後見人の権限 | 契約による。 自由に内容を決めることができる。 | 法律に定める範囲。 |
権限発生の方法 | 契約後に監督人が選ばれること | 後見開始の審判 |
取消権 | 民法120条の取消権はある。 | 後見人固有の取消権あり |
チェック体制 | 裁判所が選任する監督人がチェックする | 裁判所や裁判所が選んだ監督人がチェックする |
任意後見契約を締結する際の留意点について
任意後見制度も万能ではありません。あらかじめ次の事項はご承知おきください。
契約は余裕をもってしてください。
任意後見は将来のことをあらかじめ決めるものです。十分に時間をかけてライフプラン(生活設計)を立てる必要があります。将来、どのような生活を送りいか?どんな場所に住みたいか?介護は?医療は?家族は?など様々のことを考えていかなければなりません。「全部おまかせ…」もできなくもありませんが、ご自身のことを時間をかけて決めていきましょう。
任意後見は、ご本人死亡により終了します
契約は、一方当事者の死亡により終了します。従って、お亡くなりになった後のご葬儀などのいわゆる死後の事務は行いえません。死後の事務まで希望があれば死後事務委任契約をご利用ください。
法定後見に移行することがあります。
任意後見契約の内容はあらかじめ決めておきますが、契約の際には不動産の処分権限を任意後見人に与えていなかったのに、不動産を売却する必要が生じてしまったなど、当初の予定に反し、契約に定める以上の事務が必要になることもあります。契約の変更ができればいいのですが、任意後見がスタートしているときは本人の判断能力が低下しているので変更は困難です。このような場合は、法定後見に移行することがあります。
任意後見がはじまるまで
『契約書』
任意後見人の権限は、契約の内容によって異なります。そのため、ご本人の判断能力が衰えた後、どのような事をお願いしたいのか、確認の上、契約案を作成致します。
『ライフプラン』
契約条項とできない事項について、契約の効力発生後(判断能力が衰えた後)、どの様な生活を送りたいかを、お客様のご希望を確認の上、書面に残します。
契約書の内容を確認いただいた後、公証人役場にて任意後見の契約公正証書を作成します。
判断能力が低下してきたときは、本人・配偶者・四親等内の親族・任意後見受任者が裁判所に対し、監督人選任の申立てをします。監督人が付されたときに任意後見が発行します。
家庭裁判所が定めた内容のとおり後見等の事務が開始します。