遺言について

人は生前に築きあげてきた財産を、自分の死後にどうなるのか関心があるのが普通で、特にかわいい子どもや、生前にお世話になった人に残したいと考えるのは普通のことです。
この普通の気持ちを尊重するための制度が遺言です。遺言をすることによって遺言者[いごんしゃ=遺言をした人]が生前に自由に財産の処分方法を定めることができます。

1.遺言の形式
2.だれでも遺言ができるのか
3.遺言でできること
4.条件を付けることができるのか
5.相続分を侵害する場合の遺言の効力は
6.遺言の撤回・やり直し

1.遺言の形式

「死人に口なし」というように、死んだ後に口出すことはできません。遺言は自由にやったら良いというわけではなく、無用な争いが生じることを防ぐためにからなず法律で定められた方式によらなければならないことになっています。
その中でもよく使われる遺言の形式は、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つです。

1-1 自筆証書遺言

自 筆証書遺言とは、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自分で書き、これに印を押せばよいとされており、遺言のなかでいちばん簡単なものです。したがって、 遺言をしたいと思ったときは、紙にその内容や、日付・氏名を記載し、印を押しさえすれば、いつでも自分の思った通りの遺言を作成することができます。自筆 証書遺言をするメリットは、遺言をした事自体を秘密にできることや、その内容についても秘密にすることができます。また、遺言書作成に要する費用が安く済 ませることができます。その半面、死後に遺言書そのものが発見されなかったり、第三者によって都合の悪いものだけ隠されたり、偽造などされる恐れがありま すので注意が必要です。

1-2 公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が,公証人に遺言の内容を伝えて,公証人が,それに基づいて遺言者の真意を正確に文章にまとめ,作成した遺言です。
自筆証書遺言は,全文自分で自書しなければなりませんので,体力が弱ってきたり,病気等のため自書が困難となった場合には,自筆証書遺言をすることが難しくなりますが,公正証書遺言を利用すれば遺言をすることが可能です。

公正証書遺言は自筆証書遺言と遺言としての効力は同じですが、公証人の関与を得ることによって、偽造の心配がなくなるなど安全・確実性が増します。また、公証人が遺言の原本を保管しますので、遺言書を紛失したとしてもあわてることはありません。

公正証書遺言をするためには,遺言者の真意を確保するため,証人2人の立会いが義務づけられていたり、公証人の手数料といった費用がかかることが難点と言えます。

2.だれでも遺言ができるのか

遺 言は契約などと同じ法律行為ですので、その行為をするために必要な能力を備えている必要があります。しかし、他の契約行為と全く同様の能力が必要であると は考えられていません。たとえば20歳未満の未成年者は、単独では契約行為を行うことができず、父母の同意を得たり、法定代理人である父母が未成年者に代 わって法律行為を行いますが、法律では遺言できる年齢を満15歳以上と定めました。

また、成年被後見人[せいねんひこうけんにん=後見開始の審判を受け成年後見人がついた方]でも、判断能力を一時回復した時、医師二人以上の立会いの下で作成するなどの一定要件を備えた場合は遺言することができるとされています。

このように、遺言をするときには行為能力は必要なく、判断能力=意思能力があればよいとされています。

そして、このような能力を遺言能力と言っています。

3.遺言でできること

遺言でできる行為は法律で次の事項に限られています。

未成年後見人・未成年後見監督人の指定(839条、848条)
未成年後見人・未成年後見監督人の指定(839条、848条)
相続人の排除や排除の取り消し(893条、894条)
相続人の指定や指定の委託(902条)
特別受益持戻しの免除(903条)
遺産分割方法の指定や指定の委託(908条)
遺産分割の禁止(908条)
相続人相互間での担保責任の分担(914条)
遺贈(964条)
遺言執行者の指定や指定委託(1034条)
遺贈の減殺割合の指定(1034条)
一般財団法人の設立(一般法人法152条2項)や一般財団法人への財産の拠出(同法164条2項)
信託の設定(信託法2条2項2号、4条2号)
生命保険及び傷害疾病病低額保険について、保険金受取人の変更(保険法44条、73条。保険者への通知が対抗要件)

4.条件を付けることができるのか

5.相続分を侵害する場合の遺言の効力は

6.遺言の撤回・やり直し

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