遺言書の作成と作成をおススメする理由

遺言(ゆいごん、いごん、いげん)とは、死後に自分の財産を誰かに相続させたり、誰かにあげるなど、あらかじめ法律関係を定めるための最終意思の表示のことです。遺言は、法律上の効力を生じせしめるためには、民法に定める方式に従わなければなりません。そして、この方式に従わなかった場合は、その遺言をしたと思っても無効になってしまいます。最近流行のエンディングノートは、遺言としての適格性を有していないことも多いので注意が必要です。残される方が心配である場合は、早めに作成されることをおススメします。

1.遺言作成をおすすめする理由

財産の多寡にかかわらず遺言の作成をおすすめしています。その理由をお教えします。

1-1.争続の防止

年々相続に関する紛争が増加しています。最高裁判所の司法統計でも遺産分割調停事件の申立件数が伸びています。
うちは財産がないから関係ないとお考えの方も多いかもしれませんが、平成19年の遺産分割事件の遺産財産額が1000万円以下であるものが全体の29.1%も占めていました。対象財産5000万円以下を含めると73.1%で大半を占めています。
このように、たとえ遺産の額がそれほど多くないとしても、将来相続に関するトラブルと関係ないとは言い切れなくなってきました。
このような場合、遺言で、「誰に」「どの財産を」「どれだけ」配分するかをあらかじめ指定しておくことで、争続リスクを低くさせることができます。

1-2.あなたの思いを反映させられる

これまで築きあげてきたあなたの財産はどのように使ってほしいですか?
遺言をしていなければ、あなたを除いて、相続人間で遺産分けが行われてしまいます。
遺言をしておくと、「誰に」「どの財産を」「どれだけ」配分するかをあなたが指定しておくこともできます。
あなたの思いを形にしておきませんか?

1-3.相続手続きが円滑に・・・

相続手続きは人生の中でそう沢山はありません。全くトラブルとは無縁であっても、遺産を受け継ぐためには様々な手続きが必要です。
相続人間での話し合い・遺産分割協議書の作成・印鑑証明書の取り付け、戸籍や住民票などの収集。慣れない手続きに困惑されることも多いと思います。
遺言をしておけば、遺産分割の話し合いが不要で、印鑑証明書や戸籍などの必要な書類の数を減らせるなど、手続きを簡略化することができます。
このように遺言をすることで、遺されるご家族の負担を軽減することができます。

2.遺言でできること

遺言でできることは相続に関する事項、相続以外の財産の処分に関する事項、身分に関する事項など法律で決められています。
具体的には、遺言では次の事項について遺言者が決めておくことができるとされております。

遺言事項
相続に関する事項 1.相続分の指定、相続分の指定の第三者への委託
2.遺産分割方法の指定、遺産分割方法の指定の第三者への委託
3.5年内の遺産分割の禁止
4.遺産分割における担保責任に関する別段の意思表示
5.遺留分減殺の方法の定め
6.負担付遺贈の受遺者が放棄した場合についての指示
7.負担付遺贈の目的物の価格減少の場合についての指示
8.推定相続人の廃除及び排除の取り消し
相続以外の財産の処分 1.遺贈
2.一般財団法人設立のための寄付行為
3.信託の設定 4.生命保険金の死亡保険金の受取人の指定、変更
身分に関する事項 1.認知
2.未成年後見人の指定
3.未成年後見監督人の指定
その他 1.遺言執行者の指定及び指定の委託
2.特別受益の持戻しの免除
3.祭祀承継者の指定

このように遺言でできることは限られております。
では、もう少し詳しく遺言事項を確認しましょう。

2-1.相続に関する事項

2-1-1.相続分の指定、相続分の指定の第三者への委託

相続分の指定とは、相続人の相続分の割合を定めることです。たとえば「Aが4分の3、Bが4分の1」のようなことです。相続人全員の相続分をしてすることも、一部の相続人についてのみ指定することもできます。相続分の指定は相続人などの利害関係を持たない第三者に委託することもできます。使い道は決まっていないので、信頼できる第三者に任せたいというときに使うことができます。

2-1-2.遺産分割方法の指定、遺産分割方法の指定の第三者への委託

遺産分割方法の指定は、現物分割、代償分割、換価分割などの分割方法を指定することや具体的な配分方法を定めることです。例えば「自宅は売却して分割してほしい」といったことや「自宅の土地建物はAに相続させる」というようなものです。
遺産分割方法の指定も、第三者に委託することができます。

2-1-3.5年内の遺産分割の禁止

5年間内に限り遺産分割を禁止することができます。しばらくの間は遺産分割せずにそのままの状態をキープしてもらいたいときは有効です。

2-1-4.遺産分割における担保責任に関する別段の意思表示

相続人の誰かが相続した財産に欠陥があった場合、民法では他の共同相続人がその損失を補うとしています。この共同相続人に課されている担保責任を排除・変更することができます。

2-1-5.遺留分減殺の方法の定め

遺留分減殺請求があったときに、この順番を変える意思表示です。例えば、自宅は確実に長男に継がせたいというときに、遺留分減殺請求があったときは現金や預貯金を先に減殺の対象にすることができます。

2-1-6.負担付遺贈の受遺者が放棄した場合についての指示

負担付遺贈とはたとえば「母の面倒をみることを条件に自宅を相続させる」のように負担と伴う遺贈です。負担付きなので遺贈を放棄する場合がありますが、放棄したときに負担の利益を受けるものが受遺者となることができます。上記の例で、遺贈が放棄されると、母が自宅をもらうことができます。しかし、遺言でこれと異なる指示をすることができます。

2-1-7負担付遺贈の目的物の価格減少の場合についての指示

負担付遺贈において、何らかの事情で、遺贈の目的物の価格が減少したときは、その減少した割合によって負担が減少します。しかし、遺言でこれと異なる意思表示をすることができます。

2-1-8.推定相続人の廃除及び排除の取り消し

推定相続人の廃除とは、被相続人対して虐待、重大な侮辱その他著しい非行をした場合、被相続人の意思に基づいて、その推定相続人から相続資格を奪うという制度です。遺言で推定相続人の廃除や排除の取り消しを遺言ですることができます。

2-2.相続以外の財産の処分に関する事項

2-2-1.遺贈

遺贈とは、遺言による財産処分のことです。相続できない方にも財産をあげることができます。

2-2-2.一般財団法人設立のための寄付行為

遺言で、一般財団法人を設立することができます。

2-2-3.信託の設定

いわゆる「遺言信託」です。遺言により信託をすることができます。この遺言信託は信託銀行が遺言信託としておこなう有料の遺言執行サービスとは異なります。

2-2-4.生命保険金の死亡保険金の受取人の指定、変更

遺言によって、保険金受取品の変更をすることができます。

2-3.身分に関する事項

2-3-1.認知

遺言で、子供の認知をすることができます。

2-3-2.未成年後見人の指定

未成年者について最後に親権を行使するものは、遺言で自分の死後の未成年後見人を指定することができます。

2-3-3.未成年後見監督人の指定

上記度同様に未成年後見監督人を指定することができます。

2-4.その他

2-4-1.遺言執行者の指定及び指定の委託

遺言の実現のために、遺言施行者を指定することができます。遺言の実現のために非常に重要な事項です。

2-4-2.特別受益の持戻しの免除

共同相続人中に、被相続人から、遺贈や贈与による特別受益を得た者がいる場合、この特別受益財産を相続財産の価額に加えることを特別受益の持戻しといいますが、遺贈や贈与を受けた財産はすべて持戻しされるのが原則です。しかし、遺言で持ち戻しを免除することができます。

2-4-3.祭祀承継者の指定

遺言で祭祀承継者を指定することが可能とされています。

3.遺言の形式

遺言は、遺言書という一定の書式をそなえることにより、はじめて有効となります。
遺言書の形式は大きく分けると、普通方式特別方式があります。
一般的には普通方式の遺言の中の「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」がよく利用されます。
どちらも利点がありますが、特におすすめしたいのは「公正証書遺言」です。

メリット デメリット
自筆証書遺言 1.一人だけで作成できる。
2.遺言の存在と内容を秘密にできる
3.公証人手数料が不要
1.遺言書が発見されないおそれがある
2.遺言の変造が容易
3.遺言が無効になるおそれがある
4.家庭裁判所の検認が必要
公正証書遺言 1.法的に間違いのない遺言が作成できる。
2.遺言者の意思が明確になる。
3.口授することができれば作成できる
5.変造・紛失の心配がない
4.家庭裁判所の検認手続きが不要
1.公証人と証人2名の関与が必要
2.公証人の手数料が必要

3-1.公正証書遺言

公正証書遺言は公証役場で公証人に作成してもらう遺言です。公正証書遺言は公証人が関与するので書き間違いなどのミスはほとんどなく、公証人が、遺言者に対して遺言内容や遺言者の意思を確認するので、後日の紛争の可能性を低くすることができる最も確実な遺言方法であるといえます。また、手書きで作成する自筆証書遺言と比べ、遺言書自体は公証人が作成し、原本も公証人役場で保存していることから、偽造・変造のおそれはほとんどなく、たとえ遺言書を紛失したとしても、公証人役場に原本が保存されているため、もし遺言書をなくなってしまっても遺言書謄本の再発行も可能です。
このようなことから、Himeji-jsoでは、遺言をご作成される際は公正証書遺言での作成をオススメしております。

3-2.自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者自身で遺言書の全文を手書きして作成する形式の遺言です。自分一人で遺言書を作成できるので、紙とペンさえあれば、いつでも、どこでも作成できるのが自筆証書遺言の最も大きな長所です。
自筆証書遺言は、全文を手書きする必要がありますので、パソコンやワープロなどによる作成は認められません。また、日付や押印の漏れがあるとその遺言は自筆証書遺言の形式を満たさず無効になってしまいます。
自筆証書遺言は、いつでも気兼ねなく作成することができるとはいえ、方式には十分な注意が必要です。

【Himeji-jso】の遺言サポートサービス

【Himeji-jso】では、遺言を残される方のため、遺言を残された方のために次のサービスを行っております。

1.自筆証書遺言の作成サポート
2.公正証書遺言の作成サポート
3.遺言書の保管
4.遺言の効果が発生したときの遺言内容の実現

遺言は作成方法がわからないと、自分が思っていたことと異なってしまう場合があります。また、自筆証書遺言は、必要事項を満たしていないと遺言が無効になってしまいます。
このように、法律に疎い場合は、思いもよらない事態を引き起こしてしまうことも少なくありません。
まずは、法律の専門家にご相談いただくことをお勧め致します。

【Himeji-jso】は、遺言書を単なる書類として考えるのではなく、お客様から残された方への贈り物と考え、込められた思いを大切にしサポートさせて頂きます。

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